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バトロワ好きな人にはいいかも。 

義理ばるより(`・ω・´)頬ばれ!!さんのところで知った記事。

■クイズの時間

やばい、これめちゃんこオモシロイよ!引き込まれるよ。
ミステリ(<主に清涼院流水)好きのアタシにはとってもツボった。流水よりもおもしろいけどw
続きが気になるー!
ということで、続きの過去ログ探して読んじゃった。
こちらで紹介されている部分に続くログをまとめました。まずは↑で前半を読んでから↓へ進んでください。
----------------

168 名前: 学生さんは名前がない 投稿日: 02/04/06 00:01

「狂ってる……」
小津は吐き捨てるように言った。もう二人とも、編集室に戻ってきている。
「お手上げですな」
阿部は呟いた。
「少しでも近づくと、観客を殺すという。彼は本当にやるでしょう。
また、多少の犠牲はやむをえないと突っ込んでも、ダイナマイトが爆発 するだけだ。みのさんが拳銃をダイナマイトに撃ちこむだけで、我々は 木っ端微塵ですよ。狙撃手が到着するのを待ちましょう」
「いつ到着するんですか」
「そうですね。あと30分もあれば」
「馬鹿な。何故そんな時間がかかるんだ!」
「失敗は許されない以上、日本で一番の狙撃手を呼ぶ必要があるからです。
まあ、ゆっくり待ちましょう」
「ゆっくりだなんて……あなたはおかしいんじゃないのか」
「ものは相談ですがね」
阿部は強引に話題を変えた。
「貴方は東大の理学部出身だそうで」
「ええ」
「コンピュータには詳しい?」
「人並みには」
「モノは相談ですがね」
阿部はゆっくりといった。
「機械に、トリックを仕掛けることはできませんかね?」


170 名前: 学生さんは名前がない 投稿日: 02/04/06 00:01

「機械に……?」
阿部はこくりと頷いた。
「そうです。解答者が何を答えても、すべて正解にしてしまうんです。
そうすれば、問題は解決する。いや、しないかもしれないけど、この膠着状態は抜け出せるはずだ」
「なるほど。しかし」
「しかし、なんです?」
「私にはそのような作業は出来ません」
「それはおかしいですね。さっきスタッフの方にお伺いしたんですが、このシステムの大元を設計したのは貴方だそうじゃないですか。ちょっと細工をするくらい、構わんでしょう?」
「しかし、トリックがばれたらどうしますか? みのさんが解答を知っていたら?」
「おっと、それは考えませんでしたね」
「そんなこと、最初に考えてくださいよ! だいたい、この番組は、問題ごとにみのさんに解答を送っているんじゃない。予めみのさんは全部の解答を知っているんだ。だから、ごまかせるはずがない」
「そんなに怒らなくて結構ですよ。失敬失敬」
そのとき、若い刑事が阿部の肩を叩いた。
「ちょっと失礼」
阿部は席を外すと、小津は一人になった。
モニタの中では、4人目の挑戦者が処刑台に向かっているところだった。


171 名前: 学生さんは名前がない 投稿日: 02/04/06 00:02

「助けてください……」
加藤は、着席するなりそう言った。
「私には、妻も子供もいるのです。お願いです。た、助けて」
「私にも優しい妻と、可愛い子供がいますよ。もう生きていけないでしょうけどね。ハハハハハ!」
「お、お願いです。私は呼ばれただけなんだ。こ、こんなことになるのなら、来なければよかった」
「こちらからお呼びがかかったというのは、めったにない体験なんですから、もっと喜ばなきゃ。本当なら、応募しても出れない人がたくさんいるんですよ」
「嫌だ、嫌だ」
「さあ、クイズをはじめますよ。えーと、東京都からお越しの加藤駿作さんですね。45歳、バリバリの働き手だ。なんと東大出身ですか。今日は東大に縁のある日ですね」
「……」
「そんな暗い顔をしてちゃ、答えられるものも答えられないですよ!さあ、いきましょうか、第一問目」
「嫌だ、嫌だ!」
そう叫ぶと加藤はみのもんたに飛びかかった。
だが、全く間に合わなかった。俊敏な動きで銃口を額に合わせ、引き金を引く。その動きは、さながらマシンのようだった。

悲鳴とともに、死者の数は4になった。


181 名前: 学生さんは名前がない 投稿日: 02/04/06 00:20

「狙撃手はいつ来るんですか!」
小津は声を荒げた。阿部は煙たそうに手を振った。
「そうですね。あと二十分ほどですか。ヘリコプターで大至急向かわせているところです」
「二十分……」
小津はしばらくうつむいた。阿部は構わず話を続ける。
「ところで、気になったことがありましてね。みのもんた氏は、どこからあんな大量の武器を持ってきたんでしょうね」
「貴方の雑談につきあっている暇はない! もう、我慢できない!」
小津は勢いよく立ちあがった。
「どうするんです。小津さん?」
「スタジオへ行きます。そして、私が直接、みのさんに話をつけてきます」
「勝手な行動は許しませんよ」
「さっき聞かれた話にお答えします。私とみのさんは、もう二十年来の中だ。私がテレビ局に入ってから、ずっと付き合いがある。私の話ならば聞いてくれる」
「むざむざ死にに行くのかもしれない。奥さんや子供さんが哀しみますよ。そういう仕事は、我々に任せておくんだ」
小津はふっと、寂しそうな表情を見せた。
「妻は……いません」
「そうでしたか。これは失礼。とにかく、少し落ちつきましょう」
「いや、私は行きます。きっと説得してきます。止めないでください」
小津はそういうと、編集室から駆け出した。


182 名前: 学生さんは名前がない 投稿日: 02/04/06 00:21

小津の行動に、捜査陣が一縷の望みを託したのは事実だった。
この手詰まりの状況の中、みのもんたとコミュニケーションを取るには、近しい人の説得が必要だと考えられていたからだ。
小津は堂々と、スタジオに乗りこんだ。
「おい、今入ってきたのは誰だ?」
神経質に、みのもんたが声を荒げる。
「私です。ディレクターの小津です」
「小津君か。どうした?」
「もうやめにしませんか?」
「ダメだ」
「テレビというのは、安心して楽しめる娯楽を提供するメディアなのです。
それには、やらせは必要悪だ。貴方もそんなことくらいわかっているはずだ」
「それに嫌気が差したのだよ。一度くらい、真剣勝負をしてみたい。思わないのかね」
「思いませんね」
「なら、話すことはないな。帰りたまえ」
「いや、ひとつ提案があります」
小津は声を張った。
「みのさん。私と勝負をしましょう」


183 名前: 学生さんは名前がない 投稿日: 02/04/06 00:22

「勝負……?」
みのもんたは、明かに興味を持った表情で問いかけた。
「そうです。こうなったのは私の責任だ。私がクイズに解答します」
「私の責任だ、か。確かにそうだ。くははは」
「貴方は台本通りことが進むのを好まないはずだ。だからこのようなことを始めたんだ。だから」
「君のいいたいことは判ったよ。奇妙な男だ、君は。こんな面白い試みを始めておきながら、やめろというのだからな」
みのもんたは拳銃を持っているほうの手で、大きく手招きをした。
「座りたまえ」


184 名前: 学生さんは名前がない 投稿日: 02/04/06 00:23

「ひとつ問題がある」
みのもんたは、小津が座るなり言った。
「テレビの前の皆さんは知らないかもしれないが、この小津君は、この番組のディレクターだ。当然、出題される問題は全て知っている。さて、どうしたものかね」
「貴方が問題を考えればいい。この場で。それこそ、真剣勝負に相応しい。我々が考えている問題に乗って番組を進めていた時点で、貴方は満足していなかったはずだ」
「くくく。確かにそうだ。だが、私が本当は正解なのに、間違いと言い張って君を殺した場合はどうなる?」
「この番組の視聴率は、既に90%を超えています。一億人が証言者だ。貴方はプロだ。不正はしない」
「もしも私が答えを勘違いしていたら?」
「そのときは諦めますよ」
「面白い。その勝負、受けることにしよう。 確認をする。クイズは15問。全問正解できたら、私の負け。 1問でも間違えたら、君の負けだ。君は死ぬ」
「構わない」
「奥さんが哀しむだろう。子供も」
「私に家族はいない。両親も死んだ。心配は無用です」
「なるほどなるほど」
みのもんたは嬉しそうに笑みをこぼし、身を乗り出した。
「第1問」


185 名前: 学生さんは名前がない 投稿日: 02/04/06 00:24

「まずは君の好きな、映画の問題でも出そうかね。
次のうち、アルフレッド・ヒッチコックの作品はどれ。

A 裏窓
B 太陽がいっぱい
C ジョーズ
D 終着駅」
「裏窓。ファイナルアンサー」
「……正解。
第2問。では、小説の問題だ。名作「幻の女」の作者は誰。

A エラリー・クイーン
B ロス・マクドナルド
C ウィリアム・アイリッシュ
D アイラ・レヴィン」
「ウィリアム・アイリッシュ。ファイナルアンサー」
「正解だ。お見事」
「こんな簡単な問題ばかり出していると、あとで後悔しますよ」
「心配はいらない。私には、「思いっきりテレビ」で蓄えた知識があるからね。あんな下らない番組が役に立つ日がこようとは、ついぞ思わなかった。君は確実に死ぬ」

「……見事ですね」
編集室で、若手の刑事が阿部に話しかけた。阿部は顔をしかめながら言った。
「まだ2問だ」
「でも、あの人、博学そうだし、行けるかもしれませんよ」
「……お前は馬鹿か」
「はっ?」
「なんでもないよ」
「あっ!」
若手刑事は声を上げた。モニタの中で、小津が答えに詰まっていた。


187 名前: 学生さんは名前がない 投稿日: 02/04/06 00:30

「第5問。
パブロ・ピカソの画風を、俗になんというか?

A 印象主義
B キュビズム
C フォーヴィズム
D シュールレアリスム」

小津が詰まった問題はこれだった。先程から、もう5分も黙っている。
「どうしました? ん? ん?」
「静かにしててください。記憶の戸棚を整理しているところだ」
水を飲みこむ。足を組む。そして、うつむく。みのもんたは囃し立てたい気持ちを我慢するように、背もたれに体を預けた。
しばらくして、小津が言った。
「オーディエンスを」
「オーディエンスですか。いいんですか。さっきの挑戦者は」
「結構です」
「……では、観客の皆様にお聞きしましょう。お手元のボタンをお押しください」
やがて、結果が出た。

A 印象主義 2%
B キュビズム 10%
C フォーヴィズム 7%
D シュールレアリスム 81%

「はっきりしましたね、これは。この結果をどう取るかは貴方次第だ」
「少し考えさせてください」
小津はしばらく黙り込んだ。観客を見まわし、空気の匂いを嗅ぐように鼻をならし、口を開いた。
「Bのキュビズムで」
「ほう。お客様を信用しない?」
「彼らには前科がありますからね」
「なるほど。Bのキュビズム。ファイナルアンサー?」
「ファイナルアンサーだ」
みのもんたは小津の顔を覗きこんだ。目を見つめる。嬉しそうな瞳。
大好きな玩具を見つめるような。
「正解!」
小津はふっとため息をついた。


188 名前: 学生さんは名前がない 投稿日: 02/04/06 00:31

「危なかったですねー」
編集室。相変わらず、若手の刑事が阿部に話しかけている。
「そうだな」
「なるほど、2番目に多い答えを答えればいいんですねえ。頭いいなあ」
「君の頭が悪いだけだ」
「はっ?」
「なんでもない」
「……阿部さん」
別の刑事が話しかける。阿部の瞳に、突然興味が宿った。
「おう」
「さっきの話ですが、調べがつきました。間違いありません。確かに……」
ごにょごにょと話を始める。若手刑事は面白くない。自然とモニタの方を向く。
「いつまで考えているんですか?」
モニタの中で、みのもんたが苛立っていた。


189 名前: 学生さんは名前がない 投稿日: 02/04/06 00:34

「もう10分も考えている。テレビの前の皆さんも、イライラしている
はずだ」
みのもんたは声を荒げた。その表情は、明かに苛立っていた。
「今回の問題は難しいですからね。私も命がかかっているんだ。それに、何分考えてもルール上は問題がないはずです。前に、30分考えていた人がいたじゃないですか。貴方はプロだ。ルールは守りましょう」
「ルール、ルールか……。確かにそうだが」
小津は水を口に含んだ。腕時計を見る。そして、腕時計の反射で入り口の方を見た。
みのもんたが小津に気を取られている隙に、スマートなライフルを持った狙撃手が侵入していた。小津は浮かんでくる笑みを、辛うじて抑えた。
せき払いをする。
「答えが出ました。答えは……」
「答えは?」
小津がみのもんたの瞳を見つめる。真剣な表情で見つめる。時間が止まる、その一瞬。
みのもんたの額に穴が開いた。その瞬間、小津はみのもんたの体に突っ込んだ。拳銃を奪う。そして、みのもんたの口に銃口を押しこみ、引き金を引いた。
ふーっと、小津は大きくため息をついた。終わった。終わったのだ……。
「ブラボー!!」
スタジオの空気が急速に弛緩する中、入ってきた阿部が声を上げた。
「お見事でした! 貴方のおかげで、狙撃手が狙撃できる隙が出来た」
「……はは」
「貴方が挑戦しようと言い始めたとき、私はピーンと来ましたよ。
ああ、これはスナイパーがくるまでの時間稼ぎだな、って。貴方は素晴らしい」
「それほどでもないです」
「これほどの殺人計画を、たった一人で練り上げたんですからね」
阿部は手錠を出した。
「小津さん。貴方を殺人容疑で逮捕します」


192 名前: 学生さんは名前がない 投稿日: 02/04/06 00:35

「殺人容疑? なんのことですか?」
突然始まった逮捕劇に、安堵のため息が漏れていた観客席の空気が、再び引き締まった。
「みのさんを殺したことですか? 冗談じゃない。これは正当防衛だ」
「それ以前に、我々の狙撃手が殺害しています。額を撃ちぬいていますからね」
「なら」
「ひとつお聞きしたい」
阿部は小津をさえぎって言った。
「みのさんが撃たれた瞬間、貴方は迷わずにみのさんに掴みかかっていった。何故ですか?」
「それは、死んでいなかったら私が殺そうと思って」
「それにしては躊躇がなかった。額に穴が開いているのを見たのに、貴方は更に銃弾を撃った。これが示すことはただひとつです」
阿部は小津を指差した。
「貴方は最初から、みのさんを殺すつもりだった」
「……」
「なぜなら、みのさんが生きていては、貴方の犯罪が発覚してしまうからです」
「何を根拠に」
阿部は詰め寄るように言った。
「みのさんにこのようなことを起こさせた黒幕。それは貴方だ。違いますか?」


193 名前: 学生さんは名前がない 投稿日: 02/04/06 00:37

「最初におかしいと思ったのは、3番目の挑戦者が漏らした台詞でした。
彼はこう言った。「私は間違ったはずです。いや、確かに間違えた。
だから、ここに呼ばれるわけがない」。みのさんが、ボタンの押し間違えじゃないですか? と聞いたあとも、「そんなわけは」と未練がましく言った。多分、こう言いたかったんでしょう。「そんなわけはない」」
阿部はプレゼンテーションのように、流暢に話を進める。
「そもそも、不思議だったんですよ。時が来れば、警察が解決してくれるかもしれない。立てこもり事件とはそういうものです。それなのに、なぜ解答者はわざわざ正解をして、処刑台にあがろうとするのか? 十五問正解できる自信があったとは思えません。一年間に一人か二人、出るか出ないかの難関だ。そんなことは馬鹿でもわかる。
ならば、わざと予選の段階で間違えて、じっと待っていた方がいい。違いますか」
「……」
「貴方のように、その椅子の上でひたすら粘るというやり方もある。だが、何時間も解答を延ばしていては、いつみのさんが逆上してピストルの引き金に指をかけるかわからない。予選席でおとなしくしているのが正解だ」
阿部はなおも続けた。
「私は最初から、それが不思議だった。そして、3人目の人の発言で確信しましたよ。これは、機械に細工がしてあるのだ、と。このシステムを設計したのは貴方ですね」
「……そうです」
「ならば、細工をするのもたやすかったはずだ。そう、特定の人間を解答席に座らせるように、間違いでも正解にしてしまうようなトリックを仕掛けるのはね」
小津は観念したように首をうなだれた。


195 名前: 学生さんは名前がない 投稿日: 02/04/06 00:38

「不思議なことはまだあった。みのさんはどこでダイナマイトを手に入れたのか? 拳銃はまだわかります。アメリカで買ってきて、特殊な磁気ケースにいれて持ちこめば、持ち込むことができる。日本で買うことだって出来ます。しかし、ダイナマイトはそういうわけにはいかない。
例えば、国内であれだけのダイナマイトを揃えるとしましょう。みのもんたさんは顔が割れている。超有名人だ。そんな人が、何十本もダイナマイトを揃えるとしたら、たちまち噂が広がるでしょう。それ以前に、日本でそれだけの爆発物を入手するのは困難です。革マル派だって持っていない。そこで、どうすればいいと思いますか?」
「貴方はもう、知ってるんでしょう?」
「そう。その答えが、「世界プルルン滞在記」だ」
阿部は言った。
「貴方は「世界プルルン滞在記」のディレクターだ。自然と、全世界を回る仕事だ。イスラエルやロシアのような、武器商人がわんさかいるような地域も行きましたよね?」
「はい」
「貴方はそこでダイナマイトを仕入れてきた。あ、貴方のスケジュールをチェックさせてもらいましたが、ベイルートに3度飛んでいますね。このときに仕入れたのですか?」
「はい……そうです」
「ありがとうございます。そして、もうひとつ。4人目の挑戦者が言ったことを、貴方は覚えていますか?」
「いいえ」
「彼はこう言った。「私は呼ばれただけなんだ。こんなことになるのなら、来なければよかった」。
この番組に参加するには、応募の他に、番組サイドからゲストを呼ぶ、という方法があるようですね。4人目の挑戦者が言っていたのはそれです。一般人の中から、幸運にも選ばれた。これが引っかかった。既に私は、機械にトリックがあるのでは? と疑っていま
した。そこで、調べさせていただきましたよ。今日殺された4人の解答者、全てが番組に……つまり、貴方に呼ばれてきたのだ、と」
「……」
「最低でも10万、ひょっとしたら100万単位の金が貰える番組です。飛びつかない人間はいない。貴方はそこまで計算していたんだ。違いますか?」
ダメだ、全て見破られている……。
小津は完全に観念した。
「そうです。貴方の言っていることは間違いない」


196 名前: 学生さんは名前がない 投稿日: 02/04/06 00:38

「そして貴方は最後の仕上げに出た。みのさんと直接対決をすることで、自分を容疑圏外に外すことです。だが、私の疑惑はここで確定しました。貴方はみのさんが何と言ったか、覚えていますか?」
「いえ」
「彼はこういった。「奇妙な男だ、君は。こんな面白い試みを始めておきながら、やめろというのだからな」。この台詞はおかしくないですか?面白い試み、を始めたのはみのさんだ。だが、みのさんは、あたかも貴方が試みを始めたかのように言っている。事実、そうだったんですよ。ダイナマイトを用意し、それを巻きつけたままで司会者席に座らせるというお膳立てをしたのは貴方だったのだから」
「……」
「貴方にとっては、ここが一番危ういところだった。一つ間違えれば、みのさんの口から、貴方が共犯であることがばらされていたかもしれない。しかし貴方は、みのさんは決して言わないだろうという確信をしていた。なぜなら、みのさんの中では、この番組の主役はみのもんたであり、貴方ではなかったからだ」
「……確かにそうです。彼は絶対に言わないはずだった。台本に対するアンチテーゼとして始めたのだから、台本に踊らされているというような発言は絶対にしない。むしろ、アクシデントを好むはずだった」
「というと、貴方との対決は、最初から予定されてはいなかった?」
「いませんでした。なぜなら、予定していれば、絶対にみのさんは私に逆らったはずだからです」


197 名前: 学生さんは名前がない 投稿日: 02/04/06 00:39

「なるほど」
阿部はこくりと頷いた。
「クイズに参加してからの貴方は、ひたすら本当に対決しているかのような芝居をしていればよかった。自分を容疑圏外に外すためのパフォーマンスですからね。オーディエンスを使ったのは心憎かったですな。さも真剣に考えているように見える。実際に、ウチの若い刑事は、貴方が本気で迷っていると勘違いして、奇妙な解説をしてましたよ。なんのことはない、貴方は最初から答えを知っていた。それでいて、オーディエンスを使った。違いますか?」
「ピカソは好きなんでね」
「なるほどね。ともあれ、最後、みのさんに飛びかかっていったところで、私の疑惑は固まりました。この計画は全て貴方が行った。証拠はこれから幾らでも出てくるでしょう。被害者と貴方の関係を調べるだけで充分だ。貴方を逮捕します」
阿部はゆっくりと小津に近づいた。小津の決心は固まっていた。
「動かないで下さい、阿部さん」
小津は素早い動きで、みのもんたの頭からダイナマイトを外した。
「動くと、ドカンといきますよ」


198 名前: 学生さんは名前がない 投稿日: 02/04/06 00:40

「馬鹿な真似はやめるんだ」
阿部の声は張り詰めていた。
「貴方は人の命をなんだと考えているんだ」
「少し、話をさせてください」
小津はカメラに向かって言った。
「この……阿部さんの言ってることは、全て本当だ。私が全てを考えた。
この4人を殺したのは私だ。この番組を作ったのは、4人が一同に会しても不思議じゃない状況を作るためだったし、生放送をしたのは、一億人の前でこいつらを殺すためだった」
小津の口調は、狂気を帯びていた。まずい、と阿部は判断した。狙撃手が小津の頭を狙っている。だが、小津はふらふらと動いており、照準が定まらないようだった。
「小津さん、もうやめよう。こんなことは意味がない」
「もう少し、話させてください。私には妻がいません」
小津は再び、テレビの前に向かって発言を始めた。
「なぜなら、妻となる女性が、大学時代に自殺してしまったからです」
小津の言葉は、一つ一つが、鉛のように重かった。


199 名前: 学生さんは名前がない 投稿日: 02/04/06 00:41

「私は東京大学の出身です。私の恋人も、東京大学にいました。
二人は大学を出たら結婚をしようと約束をしていました」
話すにつれ、小津の狂気が納まっていくようだった。
「そして突然、私の恋人は自殺をしました。知っている人がいるかもしれませんね。20年前に起きた、忌まわしい事件」
「東大生の集団レイプ事件か」
「そうです」
阿部の言葉に、小津は沈鬱に頷いた。
「あれの被害者が私の恋人でした。犯人は4人いた。私はそのときから、4人に復讐をするために生きようと思ったわけです。強姦罪の懲役は軽いですからね。殺人に匹敵する罪なのに、今の法律は軽すぎる」
小津はなおも続けた。
「復讐をしよう、と私は決心しました。それも、どうせなら最悪の方法で復讐をしよう、と。まず考えたのが、犯人の大切なものを奪うことだった」


201 名前: 学生さんは名前がない 投稿日: 02/04/06 00:42

「……そうか」
「そうだ。今日来ている4人は、全て犯人じゃありません。第一、そんなことをしたら、お互い顔見知りなのだからすぐにばれてしまう。今日死んだ4人は、すべて、犯人の親戚です」
「貴方という人は……」
「犯人のせいで、親戚が死んだんだ。今後、犯人は恨まれる。家庭は崩壊するでしょう。親戚中からつまはじきに会うでしょう。会社もくびになり、社会的に抹殺され、そして」
「自殺する」
「そうだ。お前らにも、清美の味わった苦しみを思い知らせてやる」
清美というのが、その自殺した恋人の名前であることは明白だった。
「毎朝新聞の桂木啓太! エキゾチック旅行社の松井研二!繁栄出版の浅野忠志! ビッグハンバーガーの加藤由紀夫!犯人とはお前らのことだ! 死以上の苦しみを味わえ! 生きながら死んでゆく苦しみを!」
小津は叫ぶと、突然みのもんたの手から拳銃を奪い取った。まずい、と阿部が思った瞬間には遅かった。

小津はこめかみに拳銃を当て、引き金を引いていた。



202 名前: 学生さんは名前がない 投稿日: 02/04/06 00:43

「貴方には参りましたよ」
小津の墓。ひとりぼっちの墓。
阿部はその前にたたずんでいた。
「全て、貴方の計画通りだったわけだ。貴方ほどの頭脳の持ち主にしては、あの計画は杜撰すぎた。ダイナマイトのルートの特定、システムのトリック、全て簡単に見破れた。いや、見破られても、貴方はどうでもよかったんだ。テレビの前で、犯人を告発することが重要だったのだから」
阿部は新聞を広げ、墓に添えた。
「今日、浅野が自殺しましたよ。これで4人全員が死んだ。貴方の目論み通りだ」
そして、そばの石に腰掛ける。
「貴方がみのさんを殺した理由は、口封じのためじゃない。テレビカメラを独占する必要があったからだ。みのさんが生きていては、テレビ局ごと吹っ飛ばされる恐れがあったからだ。貴方は犯罪の天才だ。台本主義に嫌気がさしているみのもんたを取りこみ、あのような凶行に走らせた。そして、生放送をさせた。番組の収録をちょうど7時前にすることで、一番人のいる時間にテレビをつけさせるように。それも全て、テレビの前で犯人を告発するためだったんだ」
阿部は墓石に手を置いた。
「貴方は天才だ。だが、馬鹿だ。なぜ過去にこだわるんだ。なぜ前を向いて歩こうとしなかったんだ。貴方ほどの人なら、きっと有益な仕事ができたはずだ。なぜだ。なぜなんだ」
阿部はひとしきり話しかけると、腰を上げた。風が吹いた。新聞紙が飛ばされ、高く空に舞いあがったかと思うと、それはすぐに見えなくなった。




おしまい

コメント

非常におもろかったです。

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クイズの時間

すげぇ面白かったです。一気に読んじゃった。全内容のミラー作っといたよ(´∀`)ノシ